過ぎゆく日々の備忘録
– Whispers of Bygone Days –
2025年第27週
6月30日(月)
演劇ってどうやって形になるの?
荻窪にある「シアター・オメガ東京」という小劇場に足を運んだ。
演劇『SOUL』の打合せで、プロデューサーのF氏と舞台監督のY氏に会うためだ。
これまで自分ひとりで頭を抱えていた世界が、ぐるりと裏返る。
—あ、何とかなりそうだ。
ふたりは、演劇という現場のプロフェッショナルだった。
必要な工程、日程、劇場との付き合い方、音響と照明、チケットの動線、自分ひとりじゃ見えてなかった全体像を、彼らはすでに絵として持っている。自分の中にあった〈物語〉が、誰かの技術で〈現実〉になっていく不思議。
「言葉」は空気にしか過ぎないのに、それを舞台に乗せようとする人たちがいる。
それを信じて、支えて、動かしてくれる人が現れると、創作はただの夢じゃなく、予定になっていく。
作品をつくるのは孤独だけど、作品が動き出す瞬間には、かならず誰かがいる。
その誰かの手を、今日はちゃんと握れた気がした。
仲間がいれば、空想は予定になる。
7月1日(火)
サブタイトル
さっそく言われた通りに「企画書」と「キャスト表」を作ってみる。
驚いたのは、自分で書いているうちに、全体像が設計図として浮かび上がってきたこと。これまでは漠然としていた「物語」が、誰かに届けるための「計画」になっていく。
創作って、ひとりでやってるといつまでも沼だけど、誰かと一緒にやると陸地に変わっていくんだな……地に足がついている。
劇場とプロの仲間がいて、初めて「カタチになる」手ごたえを感じる。
「夢」って、勝手にふくらんで、勝手にしぼむ。だけど、「予定」は、手と足を使って進んでいく。
今、自分の中でその切り替えが起きている。
企画書は、夢を予定に変える設計図だ。
7月2日(水)
赤字って、やるだけ損なの?
劇場側から「予算表」が上がってきた。
額面を見て、思わずつぶやいた。「赤字って……やるだけ損ってこと?」
でも、やる! やると決めた。
赤字はスタート地点だ。ここから黒字に変える。いや、大儲けする戦略を立てる。自分には武器がある——映像をつくれるという、強力なスキルが。
舞台とは別に、スピンオフ映像で何か収益を上げられないか?
頭の中でアイデアがせめぎ合いながら、深夜までノートをにらむ。
夢を形にするには、お金がいる。
お金を動かすには、知恵と仕掛けがいる。
自分の創作人生が、ここで少しだけビジネスに踏み出した。
赤字は損じゃない。勝負の始まりだ。
7月3日(木)
締切がないと動けないのは、なぜ?
今日は演劇をいったん離れ、ショートドラマの企画書を書く。
やっぱり、自分は映像のほうが呼吸が合う。脚本もスルスル書ける。
でも、これもまた今日が締切。
自分はいつも「締切」がないと動けない。
わかってる。わかってるんだけど、今日もまたギリギリ。
そんな自分がちょっと嫌になる。
でも、たぶん、それが自分の創作スタイルなのだ。
動けない自分を責めるより、動いた自分を褒めてやれ!
7月4日(金)
何もしたくない。
映画を観たい。ただ、それだけの一日。
作業はしない。書かない。動かない。
むしろ、「観ること」を唯一の目的にして、堂々とサボる。
創作にとって、こういう日もちゃんと大事だと、自分に言い聞かせる。
頭も手も、今日は休ませてやる。
だって人間だもの。
立ち止まる時間も、創作の一部だ。
7月5日(土)
節目のメリット・デメリットを実感。
誕生日が近づいてくる。
毎年この時期になると、どうにもナイーブになる。過ぎてきた人生を振り返っては、未来にうっすら不安を抱いてしまう。
そんな夜は、なじみの店で静かに酒を飲む。
大きなことは考えず、目の前の肴をつまみ、ほどよく酔って、「なんとかなるかもな」と思えたら、それでいい。
人生って、そういう夜の積み重ねかもしれない。
お酒で不安は消えない。
7月6日(日)
観劇・・・
面白過ぎて、、、自分が不安になる。
無言。

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